「人事がいないから、採用がうまくいかない」。
これはよく聞く話ですが、本当の問題はそこではありません。
何から手をつければいいかわからないまま、採用が後回しになっていること。
これが、人事がいない会社で採用が止まる一番の原因です。
従業員が数十名規模の中小企業では、社長や役員、総務、営業部長など、本業を抱えた人が採用を兼務しているケースがほとんどです。
筆者自身、現在も従業員約20名の建設会社の採用業務を外部パートナーとして任されています。
社内に採用専任者はゼロ。求人票の作成、スカウト送信、応募者対応、面接調整まで、一人で一貫して担当しています。
だからこそわかるのですが、人事がいない会社の採用には、共通する壁があります。
本業が忙しくて、採用が後回しになる
目の前の仕事に追われて、応募者への返信が2〜3日遅れる。その間に候補者は他社に流れていきます。
求人を出しても、応募が来ない
たまに応募が来ても、求めている人材像と違う。
「うちみたいな会社には人が来ない」と思ってしまいがちですが、応募が来ない原因の多くは、会社の魅力がないことではなく、求人票の伝え方にあるというのが現場での実感です。
何が正解かわからない
どの媒体を使えばいいのか。スカウトは効果があるのか。ネットで調べても出てくるのは大手企業向けの情報ばかりで、「うちの規模でどうすればいいか」がわからない。
これらの壁は、「人事を雇えば解決する」という話ではありません。
人事を一人雇うにはコストも時間もかかりますし、採用経験のある人材を中小企業が採用すること自体が簡単ではないからです。
では、限られた人数で採用を進めるために、何から手をつけるべきか。
実は、優先順位があります。
最初にやるべきは「求人票の見直し」
採用を改善しようとすると、「媒体を変えるべきか」「エージェントを使うべきか」と手段から考えがちです。
しかし、最初にやるべきことはもっとシンプルです。
今出している求人票の中身を見直すこと。
なぜ求人票が最初なのか。
これは私自身がスカウト代行を受けるとき、必ず最初にやることでもあります。
スカウト文面の設計に入る前に、まず求人票を確認する。
なぜなら、どの媒体を使っても、どんな手段を取っても、求職者が最終的に見るのは求人票だからです。
スカウトを送って興味を持ってもらえても、求人票を見て「思ったのと違う」と感じたら応募にはつながりません。
エージェントに紹介してもらっても、求人票が求職者に響かなければ同じです。
逆に言えば、条件を変えなくても、伝え方を変えるだけで反応が変わる可能性がある。
これは手段の話ではなく、すべての採用手法の土台です。
筆者がこれまで多くの求人票を分析してきた中で、中小企業の求人票には共通する問題点がいくつもありました。代表的なものを3つ紹介します。
タイトルに「この会社を選ぶ理由」が入っていない
求人サイトで求職者が最初に目にするのはタイトルです。ここで興味を持たれなければ、本文は読まれません。
しかし多くの求人票のタイトルは「職種名+条件の羅列」で終わっている。同じ業界の求人が並ぶ中では、すべて同じに見えます。
冒頭がタイトルの繰り返しになっている
タイトルをクリックして本文を開いたとき、冒頭の数行で「読むかどうか」が決まります。
ここでタイトルと同じ情報が繰り返されていると、求職者は「新しい情報がない」と判断して離脱します。
条件面が数字だけで出ている
「年間休日100日」「月給22万円〜」といった数字は、それだけでは良いのか悪いのか判断できません。
業界の相場と比べてどうなのかという文脈がないと、求職者は不安を感じます。数字を変えられなくても、何と一緒に見せるかで印象は変わります。
これらはどれも、条件そのものを変える話ではありません。「すでにある情報を、どう届けるか」の問題です。
Create Matchのブログでは、実在の求人票をもとにしたモデルケースを使って、こうした問題点と改善策を具体的に解説する「勝手に添削」シリーズを公開しています。
「うちの求人票にも当てはまるかも」と思った方は、まずそちらを読んでみてください。
求人票を整えることは、この後に紹介するどの採用手法を使う場合にも土台になります。
ここが整っていないまま次の手段に進んでも、効果は半減します。
では、求人票を整えた上で、次に取るべき手段は何か。
特に人事がいない中小企業にとって相性がいい手法があります。
「待ちの採用」から「攻めの採用」へ——ダイレクトスカウトという選択肢
求人票を整えたら、次に考えるべきは「どうやって求職者に届けるか」です。
多くの中小企業は、求人サイトに掲載して応募を待つ「待ちの採用」をしています。
この方法が悪いわけではありません。ただ、待ちの採用は構造的に知名度がある企業ほど有利です。
求職者は求人サイトで検索するとき、知っている会社名や大手企業の求人から見ていきます。
従業員数十名の会社が、同じ土俵で大手と並んで「選ばれる」のは簡単ではありません。
このとき考えたいのは、「選ばれるのを待つ」のではなく「こちらから届ける」方法はないかということです。
それがダイレクトスカウトです。
ビズリーチやdodaダイレクトといった媒体に登録している求職者のプロフィールを見て、「この人に来てほしい」と思う人に企業側から直接メッセージを送る。
知名度は関係ありません。求職者の受信箱に直接届くので、「見つけてもらう」必要がない。
しかし、スカウトも「送ればいい」というわけではありません。
求職者の受信箱には毎日多くのスカウトが届いています。その中で開封してもらい、読んでもらい、返信してもらうには、メッセージの設計が必要です。
件名で手を止めさせる。冒頭で「自分のことを見てくれている」と感じさせる。返信のハードルをゼロにするクロージングを用意する。
この設計があるかないかで、結果は大きく変わります。
筆者が担当している建設会社の例では、「建設業×施工管理×地方×従業員約20名」という条件で、ビズリーチでの返信率は3.1%。同条件の平均0.8〜0.9%の約3.5倍です。
(※ビズリーチ担当者ヒアリングによる同条件平均との比較)
求人票だけでなく、スカウトでも「伝え方」で結果は変わります。件名・冒頭・クロージングをどう変えたかは、以下の記事で解説しています。
そして、人事がいない会社だからこそ使えるスカウトの強みがもう一つあります。
社長や経営層が直接スカウトを送れること。
大手企業では、スカウトは人事部の担当者が送ります。しかし中小企業なら、「代表取締役からのオファー」という形で送ることができる。
求職者にとって、経営者から直接声をかけられるのは特別な体験です。これは大手にはできない、中小企業だけの差別化です。
ただし、スカウトにも限界はあります。
スカウトが有効なのは、求職者がスカウト媒体に登録しているケースです。
業種や職種によっては、そもそもターゲットとなる人材がスカウト媒体にほとんどいない場合もあります。
また、スカウトの設計から送信、返信対応まで一人で回すのは、本業を抱えながらでは現実的に厳しい場面も出てきます。
そんなときは、すべてを自分でやろうとしなくても大丈夫です。
一人で全部やらなくていい——外部を使う判断基準
求人票の見直し、ダイレクトスカウトの設計と送信、応募者への対応、面接の調整。
採用には想像以上に多くの工程があります。これを本業と並行して一人で回し続けるのは、現実的に厳しい場面も出てきます。
そんなときに知っておいてほしいのは、すべてを自分でやる必要はないということです。
採用に関する外部サービスにはいくつかの種類があります。それぞれ役割が違うので、自社の状況に合ったものを選ぶことが大切です。
人材紹介(エージェント)
エージェントが候補者を紹介してくれるサービスです。採用が決まったときに費用が発生する成果報酬型が一般的で、相場は年収の30〜35%程度。自社で候補者を探す手間が省けます。
「採用を急いでいて、自社で候補者を探す時間がない」場合に向いています。
ただし、紹介される人材はエージェント任せになるため、自社の求める人物像が正確に伝わっていないとミスマッチが起きやすい面もあります。
求人広告代理店
求人サイトへの掲載を代行してくれるサービスです。媒体選びや求人票の作成をサポートしてくれますが、基本的には「掲載して待つ」形になります。費用は媒体やプランによって数万円〜数十万円。
「まず求人を出したいが、どの媒体を選べばいいかわからない」場合の入り口になります。
採用代行(RPO)
採用業務の一部または全体を外部に委託するサービスです。求人票の作成、応募者対応、面接調整、スカウト送信など、幅広い業務を任せることができます。月額数十万円〜が一般的。
「採用の工程が多すぎて、一人では物理的に回らない」場合に向いています。
ただし費用が大きいため、中小企業にとってはハードルが高いケースもあります。
スカウト代行
ダイレクトスカウトの設計・送信に特化したサービスです。ターゲットの選定、スカウト文面の設計、送信、効果測定までを一貫して任せることができます。
「求人を出しても来ない。攻めの採用をしたいが、スカウトの設計や送信を自分でやる時間がない」場合に向いています。
スカウト代行の選び方について詳しくは、以下の記事で判断基準を整理しています。
どれを選ぶにしても、外部に任せるときに意識しておきたいことが一つあります。
丸投げではなく、自社にノウハウが残る形を選ぶこと。
すべてを任せきりにすると、契約が終わった瞬間にまたゼロに戻ります。
「なぜこのやり方で成果が出ているのか」を共有してくれるパートナーを選ぶことで、自社の採用力が少しずつ積み上がっていきます。
人事がいない会社にとって、外部サービスは「人事の代わり」ではなく、「採用を前に進めるためのパートナー」です。
まとめ:人事がいなくても、採用は前に進められる
人事がいないから採用できない、ということはありません。
大切なのは、限られた人数の中で何から手をつけるかの優先順位を持つことです。
まず、求人票の見直し
条件を変えなくても、伝え方を変えるだけで反応は変わります。どの採用手法を使う場合にも、ここが土台になります。
次に、ダイレクトスカウト
知名度がなくても、こちらから届けることができる手法です。社長や経営層が直接送れること自体が、中小企業ならではの強みになります。
そして、必要に応じて外部の力を借りる
すべてを一人で抱える必要はありません。自社にノウハウが残る形でパートナーを見つけることで、採用は動き出します。
この中で、最もコストがかからず、今日から始められるのは求人票の見直しです。
ただ、自社の求人票の何が問題なのかは、自分ではなかなか気づけません。
御社の求人票、無料で診断します
「やるべきことはわかった。でも、自社の求人票のどこを直せばいいかがわからない」という方へ。
Create Matchでは、無料で求人票・スカウト文面の診断を行っています。
御社の求人票の「何が問題で、どう直せばいいのか」を具体的にフィードバックします。
無理な営業は一切しません。「一度プロに見てもらいたい」という方は、お気軽にお申し込みください。
この記事を書いた人:Create Match 中小企業向けダイレクトスカウト代行・採用サポーター。「建設業×施工管理×地方」という最も反応が取りにくい条件で、業界平均3.5倍の返信率を実現。中小企業の採用を、求人票の設計から支援しています。
