求人広告の書き方テンプレート|テンプレを埋めた後に「ここだけ変える」で応募が変わる

ノートPCの画面に求人サイトの検索結果が表示され、似たようなタイトルの中で1件だけ違うタイトルが青く目立っている

この記事では、求人広告の項目別テンプレートを用意しています

タイトル、仕事内容、給与、募集背景、会社紹介、求める人物像。

テンプレートに沿って埋めていけば、求人広告の原稿は一通り完成します。まずはテンプレートを使って書いてみてください。

それだけで、何もないところから書き始めるよりずっとスムーズに進むはずです。

ただ、テンプレートを埋めた後に、もう一歩だけ考えてほしいことがあります。

テンプレートは「何を書くか」を整理してくれます。でも、「書いたものが求職者にどう届くか」までは設計してくれません

求人サイトには、同じ職種の求人広告が何十件も並んでいます。

テンプレートを使うと、どの会社が書いても同じ形の原稿になる。その中で、求職者が「この会社を開いてみよう」と思う理由がなければ、本文がどんなに良くても読まれません。

私は中小企業の採用支援をしていて、設備工事、介護、飲食、建設、物流、清掃、製造業、自動車整備と、8業界の求人票を添削してきました。

その中で繰り返し見てきたのは、テンプレート通りに整った求人広告が、求人一覧の中で他社と同じに見えてしまっているケースです。

条件は悪くない。情報も足りている。でも、求職者が「この会社の話を聞いてみたい」と思う要素がどこにもない。

この記事では、まずテンプレートを項目別にお渡しします。

その上で、テンプレートを埋めた後に「ここを変えるだけで求職者の反応が変わる」ポイントを、実際の求人票の改善事例を交えて解説します。

テンプレートで土台を作る。そこからもう一歩、自社だけの求人広告に仕上げる。

この記事が、その両方の役に立てば幸いです。

目次

求人広告の項目別テンプレート

テンプレートを項目ごとに用意しました。自社の内容に置き換えながら使ってください。

※テンプレートの先にある「伝え方の設計」を知りたい方は、「テンプレートを埋めた求人広告が、求人一覧でどう見えるか」へ進んでください。

タイトル・職種名

求職者が最初に目にするのがタイトルです。求人サイトの検索結果に同じ職種の求人が何十件も並ぶ中で、「この求人を開いてみよう」と思わせる必要があります。

テンプレート:

【職種名】◯◯(具体的な仕事のイメージが湧く一言)|年間休日◯日|月給◯万円〜|◯◯(自社ならではの一言)

記入例:

施工管理(工場・倉庫の建築工事)|年間休日120日|月給26万円〜|創業70年の安定企業

ルート配送ドライバー|土日祝休み・年休120日|大手メーカーと取引歴30年

書くときの考え方

タイトルの文字数は30〜50文字が目安です。限られた文字数の中で、「条件」と「この会社ならでは」の両方を入れることを意識してください。条件だけを並べると、他社と同じに見えます。

募集背景

「なぜこのポジションを募集しているのか」がわかると、求職者は安心して応募できます。

テンプレート:

◯◯(募集の理由)のため、新たに◯◯(職種)を◯名募集します。◯◯(入社後に期待すること)。

記入例:

取引先の増加に伴い、配送体制を強化するためドライバーを2名募集します。
既存のルート配送がメインで、飛び込み営業や新規開拓はありません。

これまで現場を支えてきた社員が定年を迎えるにあたり、次の世代を担うメンバーを募集します。
入社後はベテラン社員と一緒に現場を回りながら、1年かけて引き継いでいきます。

書くときの考え方

「欠員募集」「増員募集」のどちらかを明示するだけでも印象は変わります。「事業拡大のため」の一言で終わらせず、もう一歩具体的に書くと求職者の納得感が高まります。

仕事内容

求職者が応募を最終判断するポイントです。「自分がそこで働く姿」を想像できるかどうかが分かれ目になります。

テンプレート:

◯◯(一文で仕事の全体像)。

具体的には、以下の業務をお任せします。

・◯◯(業務①:何を、どうするか)
・◯◯(業務②)
・◯◯(業務③)

◯◯(入社後の流れ・サポート体制)。

記入例(経験者向け):

既存顧客への法人営業をお任せします。

具体的には、以下の業務を担当していただきます。

・担当顧客への定期訪問(月10〜15社)
・見積書・提案資料の作成

・受注後の納期調整・社内連携

入社後1ヶ月は先輩社員に同行し、顧客や商材の特徴を把握するところから始めます。

記入例(未経験者向け):

お客様の工場にある機械や設備が正常に動いているかを確認し、不具合があれば直す仕事です。

具体的には、以下の業務をお任せします。

・チェックリストに沿って設備を1台ずつ確認する定期点検

・部品の交換や簡単な修理(工具の使い方は入社後に教えます)

・点検結果をフォーマットに記入する報告書の作成

入社後3ヶ月は先輩社員と一緒に現場を回ります。設備の名前や点検の手順を覚えるところからのスタートなので、専門知識がなくても問題ありません。

書くときの考え方

「未経験歓迎」を謳うなら、未経験者が読んでわかる言葉で書いてください。業界用語だけで書くと、未経験者は「自分には無理だ」と感じて離脱します。

冒頭に仕事の全体像を一文で書き、その後に具体的な業務を並べる構成が伝わりやすいです。経験者向けと未経験者向けで書き方を変えるだけで、届く人が変わります。

給与・待遇

求職者が最も注目する項目の一つです。正確に、具体的に書くことが信頼につながります。

テンプレート:

月給◯万円〜◯万円(固定残業代◯時間分/◯円を含む。超過分は別途支給)
※経験・スキルを考慮の上決定

【昇給】年◯回 【賞与】年◯回(昨年実績:◯ヶ月分)

【年収例】◯万円/入社◯年目・◯◯職(月給◯万円+賞与+手当)

記入例:

月給22万円〜28万円(固定残業代20時間分/3万円を含む。超過分は別途支給)
※経験・スキルを考慮の上決定

【昇給】年1回(4月)

【賞与】年2回(昨年実績:3ヶ月分)

【年収例】350万円/入社2年目・一般職(月給24万円+賞与)

書くときの考え方

固定残業代を含む場合は、時間数・金額・超過分の支給を必ず明記してください。

年収例は「入社◯年目・職位・内訳」を入れると、求職者が自分の将来をイメージしやすくなります。給与に幅がある場合は下限と上限の両方を記載します。

会社紹介

「どんな会社なのか」を求職者に伝えるセクションです。会社概要の羅列で終わらせず、一言でも「この会社の特徴」がわかる情報を入れてください。

テンプレート:

◯◯(事業内容を一文で)。
◯◯(会社の特徴・強みを一文で)。

設立:◯年(創業◯年目)
従業員数:◯名
所在地:◯◯
主な取引先:◯◯

記入例:

食品メーカー向けの包装資材を製造・販売しています。
大手メーカーとの取引が30年以上続いており、安定した受注基盤があります。

設立:1992年(創業33年目)
従業員数:45名
所在地:埼玉県
主な取引先:大手食品メーカー、商社

書くときの考え方

「創業◯年」「取引先◯社」「売上◯年連続成長」など、事実を一つ入れるだけで信頼感が変わります。抽象的な理念よりも、数字や実績のほうが求職者には伝わります。

求める人物像

求職者が「自分は対象なのか」を判断するセクションです。条件を並べるだけでなく、「どんな人が活躍しているか」を具体的に書くと応募の後押しになります。

テンプレート:

【必須条件】

・◯◯

【歓迎条件】

・◯◯

【こんな方が活躍しています】

◯◯(実際に働いている社員のタイプ・前職の例など)

記入例:

【必須条件】

・普通自動車免許(AT限定可)

【歓迎条件】

・接客や営業の経験がある方(業界不問)
・コツコツと丁寧に作業するのが得意な方

【こんな方が活躍しています】

前職は介護スタッフ、飲食店のホール、工場のライン作業など、まったく違う業界から入った社員がほとんどです。

共通しているのは「手に職をつけたい」という気持ちで転職してきたこと。業界経験よりも、学ぶ意欲を重視しています。

書くときの考え方

「未経験歓迎」だけでは、求職者は「本当に自分でも大丈夫か」が判断できません。実際に異業種から入った社員がいるなら、前職の例を書くほうが説得力があります。


ここまでが項目別テンプレートです。

自社の情報を当てはめれば、求人広告の原稿は一通り完成するはずです。

なお、求人広告に記載すべき必須項目や、使ってはいけないNG表現については、以下の記事で詳しく整理しています。

求人票の書き方|応募が来ない求人票を「実際に直すとこう変わる」で解説

ただ、冒頭でもお伝えした通り、テンプレートを埋めただけの原稿は、求人サイトで他社と同じに見えてしまうリスクがあります。

次のセクションでは、テンプレートを埋めた求人広告が求職者にどう見えているかを確認し、「ここを変えるだけで反応が変わる」ポイントを解説します。

テンプレートを埋めた求人広告が、求人一覧でどう見えるか

テンプレートに沿って書けば、必要な項目が揃った原稿ができます。情報としては十分です。これだけで応募が来るケースもあります。

ただ、一つ想像してみてください。

求人サイトで、同じ職種の求人が10件並んでいる画面を。

テンプレートを使うと、どの会社が書いても同じ構造の原稿になります。

タイトルは「職種名|条件|条件」。
冒頭は会社の紹介。
仕事内容は業務の箇条書き。

求職者はスマホでその一覧をスクロールしています。

10件の求人が並ぶ中で、自社の求人だけが違って見える要素がなければ、指は止まりません。本文にどんなに良いことが書いてあっても、開かれなければ読まれない。

これはテンプレートが悪いのではありません。

テンプレートの役割は「何を書くか」を整理することであって、「求職者にどう届くか」を設計することではない。役割が違うだけです。

求職者は求人広告のすべての項目を均等に読んでいるわけではありません。

タイトルで手を止めるか、冒頭で読み進めるか、仕事内容で「自分にもできそう」と思えるか。

この3段階のどこかで離脱が起きています。

テンプレートは、この3段階すべてで「正しい情報」を入れてくれます。でも、「他社と違う見え方」までは作ってくれません。

同じテンプレートを使えば、同じ形になる。同じ形の中に埋もれたら、条件で勝負するしかなくなる。

条件を変えられるなら、それも一つの手です。でも、給与も休日もすぐには変えられない会社がほとんどだと思います。

であれば、変えられるのは「見せ方」です。

テンプレートで80点の原稿を作った後に、タイトル・冒頭・仕事内容の3箇所だけ、「求職者にどう届くか」の視点で見直す。

次のセクションでは、実際の求人票を改善した事例を交えながら、その具体的な方法を解説します。

テンプレートを埋めた後に「ここだけ変える」3つのポイント

テンプレートで原稿を作ったら、タイトル・冒頭・仕事内容の3箇所だけ見直してみてください

この3箇所は、求職者が読む順番に沿った「離脱が起きやすいポイント」です。ここを変えるだけで、条件を変えずに求職者の反応が変わります。

実際の求人票を改善した事例を交えながら、それぞれの考え方を解説します。

① タイトル——「どの会社でも言えること」を「自社にしか言えないこと」に変える

テンプレート通りにタイトルを書くと、「職種名|条件|条件」の形になります。

これ自体は間違いではありません。ただ、同じ職種の求人が10件並んだとき、全部が同じ形になる。求職者から見ると、どれも同じに見えます。

あるビルメンテナンス会社の求人票を添削したときの話です。

従業員約50名、数年連続で売上130〜170%成長という勢いのある会社でした。

元のタイトルはこうなっていました。

変更前:

清掃スタッフ◆転勤無し/現場へ直行直帰可/業績好調◎/完全週休二日制(土日祝)

求人サイトで清掃スタッフの求人タイトルが並んでいる画面

情報はちゃんと入っています。条件も書いてある。

では何が問題か。

「転勤なし」「直行直帰」は、清掃業界ではほぼ当たり前の働き方です。タイトルに入れても、他社との違いにはなりません。

「業績好調◎」は、この会社の強みに触れようとしている。方向は正しい。

でも「業績好調」はどの会社でも言える言葉です。

この会社には「数年連続で売上130〜170%成長」「毎月過去最高業績を更新」という具体的な数字があるのに、タイトルには「業績好調◎」の一言しか入っていない。

清掃業界の求人タイトルを見ていると、成長率を具体的な数字で入れている会社はほぼありません。

つまり、数字を出すだけで他のすべての清掃求人と違って見える。

変更後:

土日祝休みの清掃スタッフ|毎年売上更新中の成長企業|未経験から管理職を目指せる

タイトルを改善した求人が他の求人の中で目立っている画面

変えたポイントは3つです。

「土日祝休み」を先頭に置いた

清掃業界はシフト制の会社が多く、土日祝が完全に休みという会社は珍しい。業界の中で珍しい条件なら、先頭に置く価値があります。

「業績好調◎」を「毎年売上更新中の成長企業」に変えた

元の言葉を具体的にしただけです。でも「業績好調」は自己申告、「毎年売上更新中」は事実。印象がまったく違います。

「未経験歓迎」を「未経験から管理職を目指せる」に変えた

「未経験歓迎」はどの会社も書いている。でも「未経験から管理職を目指せる」と書いている求人はほとんどない。同じ未経験でも、「入口の話」で終わるか「その先のキャリア」まで見せるかで、受け取り方が変わります。


タイトルを見直すとき、最初にやるべきなのは「同じ職種の求人を実際に検索して並べて見ること」です。自社のタイトルが他社とどう見えるかがわかります。

その上で、「どの会社でも言えること」と「自社にしか言えないこと」を切り分ける。タイトルに入れるべきは後者です。

  • 営業職なら「飛び込みなし・既存顧客のみ」
  • ドライバーなら「手積み手降ろしなし」
  • 事務職なら「残業月5時間・17時半退社」

求職者が不安に感じていることの裏返しが、そのままタイトルの武器になります。

タイトル改善の詳しい設計プロセスは、以下の記事で業界別に解説しています。

【勝手に添削】清掃員の求人に応募が来ない?成長企業なのに”伝え方”で損している求人票の特徴

② 冒頭——タイトルの繰り返しをやめて、「事実」で求職者を引き込む

タイトルで「おっ」と思った求職者がクリックした。次に目に入るのは、本文の冒頭2〜3行です。

ここが第二の関門です。

テンプレート通りに書くと、冒頭は会社紹介や条件の要約から始まることが多い。でも、その情報はすでにタイトルで見ている。

同じ情報がもう一度出てくると、求職者は「新しい情報がない」と感じて離脱します。

ある高級和食店の求人票を添削したときの話です。

ワインセラーに5000本、ソムリエが常駐、各界の著名人もお忍びで通う。鉄板焼の高級店です。

タイトルでは「ワイン5000本の高級鉄板焼」という他の飲食店にはない情報で興味を引く設計にしました。

ところが、本文の冒頭はこうなっていました。

変更前:

「おもてなしの心で、感動をお届けする」

私たちはお客様一人ひとりに寄り添い、最高のひとときを提供することを目指しています。あなたも一緒に、お客様に笑顔を届けませんか?

タイトルで「ワイン5000本」を見てクリックした求職者が知りたいのは、「この店はどんな世界なのか」です。

その期待に対して、冒頭に出てくるのはどの飲食店でも書けるスローガン。

「おもてなしの心」
「感動をお届け」
「笑顔を届ける」

気持ちは伝わります。でも、これを読んで「もっと知りたい」と思う求職者は少ない。

タイトルで生まれた期待に、冒頭で応えられていない。ここで離脱が起きます。

では、冒頭に何を書けばいいのか。

タイトルで「ワイン5000本の高級鉄板焼」を見てクリックした求職者が、次に知りたいことは何か。候補はいくつかあります。

「給与や待遇の詳細」
「シェフやスタッフの紹介」
「お店の雰囲気や世界観」

この中で最も優先すべきは「お店の世界観」です。なぜなら、タイトルの「ワイン5000本」で求職者の頭に生まれたのは「どんな店なんだろう?」という好奇心だからです。

条件を知りたくてクリックしたのではなく、この店の世界を覗いてみたくてクリックした。であれば、冒頭ではその世界を見せるべきです。

しかも、世界観を伝える方法にも選択肢があります。スローガンで伝えるか、事実で伝えるか。

元の冒頭は「おもてなしの心で、感動をお届けする」というスローガンでした。これは会社側が「こういう店です」と説明する形です。

でも、求職者はまだこの店のことを何も知らない。知らない店のスローガンを読んでも、実感が湧きません。

一方、事実を並べると何が起きるか。

変更後:

ワインセラーに5000本。ソムリエが常駐し、各界の著名人もお忍びで通う鉄板焼の高級和食店。

ここで、未経験からプロの接客を身につけませんか。

「ワイン5000本」「ソムリエ常駐」「著名人が通う」

この3つの事実だけで、求職者の頭の中に具体的なイメージが浮かびます。

「おもてなしの心」とは一言も書いていません。でも、5000本のワインセラーとソムリエ常駐という事実を読めば、求職者は自分で「ここは本物の店だな」と感じます。

スローガンは「こういう店です」と説明する。事実は「自分で感じさせる」。説明されるより、自分で感じたほうが印象に残ります。

その上で「未経験からプロの接客を身につけませんか」と一文添える。

「この店はどんな世界か」→「そこで自分はどうなれるか」

この2ステップがあるだけで、求職者は「もう少し読んでみよう」と思えます。

冒頭を見直すときに考えるのは、「タイトルを見てクリックした求職者が、次に何を知りたいか」です。

タイトルで好条件を打ち出したなら、冒頭ではその根拠を見せる。

「年収510万」なら、冒頭で内訳を出す。

タイトルで「出戻り社員がいる」と打ち出したなら、冒頭では「なぜ戻ってくるのか」を見せる。

製造業で「大手メーカーと直接取引」をタイトルに入れたなら、冒頭では「だから仕事が安定していて、腰を据えて技術を磨ける」と求職者にとっての意味を見せる。

建設業で「創業70年」を打ち出したなら、冒頭では「70年続いている理由」を具体的に見せる。

IT企業で「自社サービス開発100%」を打ち出したなら、冒頭では「どんなサービスを、どんなチームで作っているか」を見せる。

小売業で「店長候補」を打ち出したなら、冒頭では「入社からどのくらいで店長になれるか」の実績を見せる。

タイトルの繰り返しではなく、タイトルの先にある情報を出す。

これが冒頭の役割です。

冒頭改善の詳しい設計プロセスは、以下の記事で解説しています。

【勝手に添削】飲食店の求人に応募が来ない?魅力はあるのに”伝え方”で損している求人票の特徴

③ 仕事内容——「作業の一覧」を「入社後の自分が見える説明」に変える

タイトルで手を止めてもらえた。冒頭で読み進めてもらえた。

ここまで来た求職者が、最後に判断するのが仕事内容です。

テンプレート通りに書くと、仕事内容は業務の箇条書きになります。

「接客」「点検」「書類作成」「清掃」。

項目としては正しい。でも、この箇条書きを読んで「自分がそこで働く姿」を想像できるかというと、特に未経験者には難しい。

ある中古車ディーラーの求人票を添削したときの話です。

従業員約15名、自社で車検を完結できる指定工場を持つ整備工場。「未経験歓迎」を謳っていました。

仕事内容はこうなっていました。

変更前:

既存のお客様の自動車の整備・車検・点検等およびサービス全般(オイル交換、洗車、自動車の引取り、納車等)の業務をご担当いただきます。

「整備・車検・点検」
「オイル交換、洗車、引取り、納車」

経験者が読めば、何をする仕事かわかります。

でもこの求人票は「未経験歓迎」です。未経験者がこれを読んでも、「自分が最初に何をやるのか」「どうやって一人前になるのか」が見えません。

この業界の求人票を読んでいると、1日の流れや成長ステップまで書いている求人はほとんどありませんでした。大半が業務名の羅列で止まっています。

「先輩社員が一から丁寧に指導いたします」とも書かれていました。

でも、何をどう教えてもらえるのかがわからない。「丁寧に指導します」は、この業界のどの求人票にも書いてある言葉です。

未経験歓迎と言いながら、仕事内容の書き方が経験者にしか通じない

このギャップが、応募を遠ざけています。

仕事内容を未経験者に伝わるように書き直す方法は、いくつかあります。

  • 業務を箇条書きにして、それぞれに簡単な説明を添える
  • 必要なスキルや資格を整理して、「未経験でも取得できる」と添える
  • 入社後の成長ステップを時間軸で見せる

この中で最も効果が大きいのは「時間軸で見せる」方法です。

なぜなら、箇条書きやスキル一覧は「何が求められるか」を伝える情報ですが、時間軸は「そこで働く自分の姿」を想像させる情報だからです。

未経験者が応募を決めるのは、条件に納得したときではなく、「ここで働く自分が想像できた」とき。想像させる力が最も強いのが、時間軸の見せ方です。

変更後:

入社後はまず、オイル交換や洗車、お客様の車の引取り・納車といった基本的な業務から始めます。

先輩と一緒に作業しながら、工具の使い方や車の構造を覚えていきます。慣れてきたら点検業務に入り、経験を積みながら車検整備にもステップアップしていきます。

当社は自社で車検を完結できる指定工場を持っているため、整備士として必要な技術を一通り経験できる環境があります。資格取得支援制度(教材費・受験費用は会社負担)もあるので、働きながらステップアップを目指せます。

変えたポイントは2つです。

業務の一覧ではなく、時間軸で見せた

「最初はこれ→慣れたらこれ→その先はこれ」。

この順番で書くだけで、未経験者でも「自分がどう成長していくのか」をイメージできます。

業務名の羅列は経験者のための書き方です。未経験歓迎を謳うなら、未経験者の目線で書く必要があります。

「丁寧に指導します」を具体化した

「先輩と一緒に作業しながら、工具の使い方や車の構造を覚えていく」

こう書くことで、未経験者が入社後の自分を具体的に想像できます。

どの会社でも書ける「丁寧に指導」よりも、「何を、どうやって覚えていくのか」のほうが不安を解消する力があります。


仕事内容を見直すときに考えるのは、「この求人票を読むのは誰か」です。

経験者向けなら、業務名と求められるスキルを具体的に書けば伝わります。

未経験者向けなら、業務名よりも「最初に何をして、どう成長していくのか」の時間軸を見せる。

専門用語を使うなら、「つまり何をするのか」を一言添える。

建設業の「施工管理」なら「工事が予定通りに進むよう、職人さんとスケジュールを調整する仕事です」。

介護の「身体介助」なら「入浴や食事のサポートなど、利用者さんの日常生活をお手伝いする仕事です」。

どの業界でも、専門用語の後に一言添えるだけで、読み手の理解は大きく変わります。

仕事内容改善の業界別事例は、以下の記事で詳しく解説しています。

【勝手に添削】整備士の求人に応募が来ない?「車好き歓迎」の先に見せるべきもの


この3つのポイントに共通しているのは、情報の中身を変えていないということです。

給与を上げたわけでも、休日を増やしたわけでもありません。テンプレートで書いた原稿の中にある情報を、求職者が読む順番と視点に合わせて整理し直しただけです。

テンプレートで80点の原稿を作る。

その後に、タイトル・冒頭・仕事内容の3箇所だけ、「求職者にどう届くか」の視点で見直す。

この一手間で、同じ条件の求人広告でも、求職者の反応は変わります。

テンプレートでは解決できないこと

ここまで「伝え方を変えれば反応は変わる」という話をしてきました。

ただ、正直に言うと、伝え方だけでは解決できないケースもあります。

  • 給与が最低賃金に近い
  • 年間休日が業界平均を大きく下回っている
  • 残業が常態的に長い

こうした場合、テンプレートをどう工夫しても、タイトルの見せ方をどう変えても、応募を集めるのは難しい。

求職者は条件を比較して応募先を決めるので、条件自体が相場から大きく外れていれば、伝え方ではカバーしきれません。

その場合は、条件そのものの改善が先です。

伝え方で変えられるのは、「条件はそこそこあるのに、伝え方で損しているケース」です。

この記事で紹介した3つの事例も、すべてそのケースでした。

清掃会社は土日祝休みで毎年成長中。
飲食店はワイン5000本の高級店。
整備工場は賞与年3回で残業月5時間。

条件や魅力はあるのに、求人広告上でそれが伝わっていなかった。だから伝え方を変えるだけで、印象が変わった。

自社がどちらのケースかを判断するには、まず同じ職種の求人を検索して、他社の条件と並べてみることをおすすめします。

条件で明らかに負けているなら、条件の見直しが先。条件は負けていないのに応募が来ないなら、伝え方に改善の余地があります。

まとめ

求人広告の書き方に正解のテンプレートがあるなら、どの会社も同じように応募が来るはずです。

でも実際は、同じ項目を埋めていても、応募が来る求人広告と来ない求人広告がある。

この記事では、まず項目別のテンプレートで「何を書くか」を整理しました。テンプレートに沿って書けば、必要な情報が揃った原稿は作れます。

その上で、テンプレートを埋めた後に見直すべき3つのポイントを紹介しました。

  • タイトルでは、「どの会社でも言えること」を「自社にしか言えないこと」に変える
  • 冒頭では、タイトルの繰り返しをやめて、事実で求職者を引き込む
  • 仕事内容では、業務の一覧を、入社後の自分が見える説明に変える

どれも、条件を変えたわけではありません。

テンプレートで書いた原稿の中にある情報を、求職者の視点で整理し直しただけです。

まずは、自社の求人広告を開いて、タイトル・冒頭・仕事内容をこの記事の視点で読み直してみてください。

「同じ職種の求人が10件並んだとき、自社の求人だけが違って見える要素があるか。」

この問いに答えられれば、テンプレートの先にある「自社だけの求人広告」が見えてくるはずです。

実際の求人票でどう変えるかの事例は、以下のシリーズで業界別に解説しています。

「勝手に添削」シリーズ一覧

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