設備管理の求人票を何十件か見ていると、あることに気づきます。
「年休120日/転勤なし/残業月20時間以下」
どの会社も、ほぼ同じ条件をタイトルに並べている。
中身を読めば、会社ごとに全然違います。大手メーカーの構内で20年続いている会社もあれば、業界トップの設備を持つ会社もある。
でも、タイトルと冒頭だけ見ると、全部同じに見える。
求職者はスマホで求人一覧をスクロールしています。「年休/転勤なし/残業」が並ぶ中で、指を止める理由がなければ、どれだけ中身が良くても読まれません。
今回取り上げるのは、従業員約20名の設備工事会社の求人票です。年収510万、賞与5ヶ月、年間休日120日以上。条件だけ見れば、かなり良い。
でもこの求人票にも、同じ問題がありました。
「中身は良いのに、伝え方で損をしている」
どこが問題で、どう直せば応募につながるのか。具体的に見ていきます。
※本記事の求人票は、実在の求人票をもとに業界・条件・企業情報等を変更したモデルケースです。実在の特定企業を指すものではありません。
今回の会社と求人票について
まず、今回モデルにした会社の概要です。
- 業界:設備工事(食品工場の設備管理)
- 従業員数:約20名
- 所在地:地方
- 採用体制:人事専任者はおらず、社長が採用も兼務
- 採用媒体:求人サイトに掲載
中小企業としてはよくある規模感です。
そして、求人票の内容はこうでした。
- 職種:食品工場の設備管理(未経験歓迎)
- 年収:510万円(月給30万+賞与5ヶ月)
- 年間休日:120日以上(土日祝休み)
- 残業:月10時間程度
- 特徴:全国の工場への出張あり
正直、条件はかなり良いです。未経験で年収510万円、年間休日120日以上、残業も少ない。
それでも応募が来ない。
この求人票のどこに問題があるのか、見ていきます。
まず、この求人票の良い点
添削に入る前に、この求人票の良い点も伝えておきます。
条件面が強い
年収510万円、賞与5ヶ月、年間休日120日以上。中小企業でここまでの条件を出せる会社は多くありません。
仕事内容もきちんと書かれている
何をする仕事なのか、入社後の流れ、将来のキャリアパスまで記載されていました。
代表の想いが伝わるコンテンツもある
「社員に還元したい」という代表の方針がしっかり書かれていて、会社の姿勢が伝わります。
条件、仕事内容、代表の想い。求人票に必要な材料はそろっています。
ただ、先ほどの話を思い出してください。設備管理の求人票は、どの会社も同じに見える。
この会社も、材料は持っているのに「他の求人と同じ見え方」になってしまっている。
年収510万円という武器が、求職者に届く前に埋もれている状態です。
では、具体的にどこが問題なのか。1つずつ見ていきます。
添削ポイント①:求人タイトル——「知らない言葉」が先に来ていないか
求人票で最も重要なのは、実はタイトルです。
求職者はスマホで求人一覧をスクロールしています。1つの求人に目を留める時間は、ほんの1〜2秒。
タイトルの最初の数文字で「自分に関係がある」と思えなければ、そのまま指でスワイプされて終わりです。
今回の求人票のタイトルは、こうなっていました。
変更前:
食品工場の設備管理/未経験歓迎/賞与5ヶ月/残業月10時間

一見すると、情報はちゃんと入っています。条件も書いてある。
では何が問題か。
試しに、求人サイトで「設備管理」と検索してみてください。タイトルの大半がこうなっています。
「年休○日/転勤なし/残業○時間/未経験歓迎」
どの求人も同じ構造です。条件を「/」で区切って並べる。導入で触れた通り、求職者から見ると全部同じに見えます。
今回の求人票のタイトルも、同じ構造にはまっています。
「食品工場の設備管理/未経験歓迎/賞与5ヶ月/残業月10時間」
しかも、先頭に来ているのが「食品工場の設備管理」。未経験の求職者にとって馴染みのない言葉です。
ここが、この業界の求人票で一番もったいないパターンです。
求職者はスマホで一覧をスクロールしている。タイトルの最初の数文字で「自分に関係があるかどうか」を判断しています。
「食品工場の設備管理」は、経験者なら意味がわかる。でも未経験者には何の仕事かイメージが湧きません。
イメージが湧かなければ「自分向けじゃない」と判断して、指はそのまま下にスクロールされます。
この会社の最大の武器は「年収510万円」「賞与5ヶ月」です。未経験で年収510万はかなり珍しい。
でもその武器がタイトルの後半にある。先頭の「食品工場の設備管理」で離脱されたら、510万円という数字は一生見てもらえません。
どの求人も条件を並べている中で、タイトルのどこに何を置くか。その判断だけで、クリック率は変わります。
どう直すか
変更後:
1年目から年収510万円|年間休日120日|土日祝休み|賞与5ヶ月|食品工場の設備管理

変えたのは順番だけです。情報量は同じ。
「年収510万」「休日120日」「土日祝休み」
これは誰でも、考えなくても「お?」と手が止まる言葉です。脳のリソースを使わずに反応できる。
一方、「食品工場の設備管理」は求職者にとって初めて見る言葉。だから最後に置く。
先に条件で興味を引き、「見てみるか」と思わせてから、仕事内容を伝える。
添削ポイント②:本文の冒頭——最初の3行で「続きを読むか」が決まる
タイトルで「年収510万」を見て、求職者がクリックした。ここまでは成功です。
でも、クリックしただけでは応募にはなりません。次に求職者が見るのは、本文の冒頭2〜3行。スマホではそこしか表示されない。
タイトルで引いた期待に、冒頭で応えられなければ離脱します。
スクロールしなければ見えない情報は、存在しないのと同じです。
今回の求人票の本文冒頭は、こうなっていました。
変更前:
「次の仕事では、手に職をつけたい」「環境を変えて働きたい」。そんな想いをお持ちの方へ。
当社で、未経験から工場設備の専門家を目指しながら、全国の現場を巡るように働いてみませんか?

ターゲットに語りかけたい気持ちはわかります。
でも、この冒頭には具体的な情報が何もありません。
タイトルで「年収510万」を見た求職者が、次に知りたいのは何か。
「本当に510万もらえるの?内訳は?」 です。
この疑問に答えないまま、ふわっとした語りかけから始めると、求職者は「思ったのと違うな」と離脱します。
どう直すか
変更後:
月給30万円+各種手当+賞与5ヶ月(昨年実績)。これが未経験1年目から年収510万円の内訳です。
賞与は毎年欠かさず支給。「頑張ってくれている社員には還元したい」という代表の方針が、この数字に表れています。

冒頭2行で、タイトルの「年収510万」の根拠を示しています。求職者の「本当?」という疑問に即答する。
その後に「なぜこの条件が可能なのか」→ 代表の「社員に還元したい」という方針を続ける。
すると「条件の根拠 → 会社の方針 → 仕事内容」と、自然な流れで読み進めてもらえます。
添削ポイント③:仕事内容——未経験者の「不安」に最初に答えているか
「未経験歓迎」と書いてある求人票はたくさんあります。
でも、仕事内容の説明は経験者向けの言葉で書かれている。このギャップに気づいていない求人票は本当に多い。
今回の求人票の仕事内容は、こう書かれていました。
変更前:
お任せするのは、食品工場で行う設備工事の工程サポート。工場の中にある設備の工事が安全かつスムーズに進むよう、現場の段取りを整えることがあなたの役割です。
まずは工事の流れを覚え、職人さんへの声かけやスケジュールの調整といった現場の段取りを整えるところから始めていきましょう。
間違ったことは書いていません。丁寧に書いてある方だとも思います。
ただ、設備管理の求人票をいくつも読んでいると、同じパターンに何度もぶつかります。
「未経験歓迎」とタイトルに書いてあるのに、仕事内容の説明が経験者向けの言葉で書かれている。
今回もそうです。「工程サポート」「段取りを整える」。現場を知っている人なら意味がわかる。でも未経験者には、これが何を指しているのかイメージが湧きません。
そしてここが重要なのですが、イメージが湧かないとき、未経験者の頭に浮かぶのは「なるほど」ではなく「で、自分は何をするの?工事をするの?できるの?」という不安です。
私自身、建設業の採用に関わる中で何度も感じたことがあります。会社側は「丁寧に説明したつもり」なんです。工程サポートも、段取りの調整も、事実をちゃんと書いている。
でも、未経験者が求人票を読む時間はほんの数十秒です。その数十秒で「自分にもできそうか」が判断できなければ、「難しそうだからやめておこう」と離脱してしまう。
抽象的な言葉が並ぶと、未経験者は具体的なイメージが持てないまま不安だけが膨らみます。
そして「自分には無理そう」と離脱する。
どう直すか
変更後:
食品工場の中にある設備の工事が、予定通りに進むようにするのがあなたの役割です。
自分で工事をするわけではありません。「明日はこの作業をします」「この材料を使います」「この順番で進めます」。こうした段取りを整えて、職人さんに伝える仕事です。
最大の変更点は「自分で工事をするわけではありません」の一文を入れたこと。
未経験者が最初に抱く不安を、最初に潰す。「あ、自分が工事するわけじゃないんだ」と安心してもらってから、具体的な仕事内容を説明する。
さらに、「段取りを整える」という抽象的な表現を、「明日はこの作業をします」「この材料を使います」という日常会話レベルの具体例に落とし込んでいます。
これで、未経験者でも「こういうことをやるんだな」とイメージできるようになります。
添削ポイント④:ネガティブ要素の伝え方——いきなりポジティブにしても逆効果
どんな仕事にも、求職者がネガティブに感じ得る要素はあります。
出張、夜勤、転勤、残業。それ自体が悪いわけではありませんが、求職者にとっては不安材料です。
今回の求人で言えば「全国出張がある」こと。求人票ではこう書かれていました。
変更前:
★全国を巡りながら働けます!
現場は全国の工場のため、数日〜数ヶ月の出張が発生します。
宿泊先はホテルやマンスリーマンションの個室。
休日は、温泉やご当地グルメなど、その土地の魅力を楽しむ社員も多いです。
出張先での暮らしも楽しみたい方におすすめです♪
★1人1台の社用車支給! 道具の運搬や移動に使うため、あなた専用の車をお貸し出し。
自由度の高い働き方ができます。
出張をマイナスに見せたくない気持ちはわかります。だからポジティブに変換したい。
でも、いきなりポジティブにしても響きません。
なぜなら、求職者は「出張」という言葉を見た瞬間に、まず不安を感じているからです。
「家を離れるのか」
「どのくらいの期間?」
「宿泊先は?」
「手当は出るの?」
この不安が頭の中にある状態で、「全国を巡りながら働けます!」と言われても、「この会社は都合の悪いことをごまかそうとしている」と感じてしまう。
どう直すか
変更後:
現場は全国各地の食品工場のため、数日〜数ヶ月の出張が発生します。
■ 宿泊先:ホテルやマンスリーマンションの個室を会社が手配
■ 出張手当:1日3,000円支給
■ 移動:社用車を1人1台貸与休日は温泉に行ったり、その土地のグルメを楽しむ社員もいます。
順番を変えただけです。でも、印象は大きく変わります。
ステップ1:まず事実を伝える。
「出張が発生します」とストレートに書く。ごまかさない。
ステップ2:不安に対して具体的な制度を示す。
宿泊先、手当、移動手段。「ちゃんと配慮されている」と安心させる。
ステップ3:その上でポジティブに転換する。
温泉やグルメの話は、不安が解消された後だからこそ響く。
この「受け止める → 具体策を示す → ポジティブに転換」の順番は、出張に限らず使えます。
夜勤があるなら「夜勤があります → 手当・シフト制度を示す → メリットを伝える」
転勤があるなら「転勤があります → 頻度や範囲を示す → 引越し支援制度を伝える」
ネガティブ要素の伝え方には、型があります。
この求人票から学べる3つのこと
今回の添削で変えたのは、情報の「中身」ではなく「届け方」です。
年収も、仕事内容も、代表の想いも、元の求人票にすべて書いてありました。足りなかったのは情報量ではなく、「どの情報を、どこに、どの順番で置くか」という設計です。
これは、この会社だけの問題ではありません。
設備管理の求人票をいくつも見てきましたが、どの会社も同じ傾向があります。条件はちゃんと書いてある。仕事内容も書いてある。でも、求職者が一覧をスクロールしている数秒の間に「この会社は他と違う」と思わせる設計ができている求人票は、ほとんどありませんでした。
逆に言えば、ここを変えるだけで他の求人と差がつきます。
今回の添削で意識したのは3つです。
タイトルでは、「業界の当たり前」ではなく「この会社だけの武器」を先頭に置く
設備管理の求人はどれも「年休/転勤なし/残業」で始まります。
その中で年収510万円を先頭に持ってくるだけで、指が止まる確率は変わります。
仕事内容では、未経験者の「不安」に最初に答える
「未経験歓迎」と書いておきながら、仕事内容が経験者向けの言葉で始まる求人票は本当に多い。
未経験者がまず知りたいのは業務の詳細ではなく、「自分にもできるのか」です。
ネガティブ要素は、隠すのではなく「受け止めてから転換する」
出張がある、夜勤がある。そういった情報をポジティブに言い換えようとすると、かえって不信感を生みます。
まず事実をストレートに伝え、具体的な制度で不安を消し、その上でポジティブな面を見せる。
この順番が信頼につながります。
他の業界の求人票でも同じ視点で添削しています。業界別の事例は以下からご覧ください。
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ここまで読んで、「うちの求人票にも同じ問題があるかもしれない」と感じた方へ。
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御社の求人票の「何が問題で、どう直せばいいのか」を具体的にフィードバックします。
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この記事を書いた人:Create Match 中小企業向けダイレクトスカウト代行・採用サポーター。「建設業×施工管理×地方」という最も反応が取りにくい条件で、業界平均3.5倍の返信率を実現。中小企業の採用を、求人票の設計から支援しています。
