【勝手に添削】製造業の求人に応募が来ない?実力はあるのに”伝え方”で損している求人票の特徴

製造業の求人票がスマートフォンに表示されている画像

製造業の求人票を何件か読んでいると、他の業界にはない特徴に気づきます。

それが、情報量が多い

使う機械の名前、扱う素材、製品のサイズ、加工の工程。現場を知っている人が書いているからこそ、中身はしっかりしている。

でも、「マシニングセンタ」「製缶」「汎用旋盤」「フライス盤」。

未経験の求職者がこれを読んで、「自分にもできそうだ」と思えるでしょうか。

製造業の求人票を5件、10件と読み比べてみました。どの会社も「未経験歓迎」と書いている。教育体制も丁寧に説明している。未経験者を採りたいという意思は伝わってくる。

なのに、仕事内容の欄を開くと、最初の2行で専門用語が5つ並ぶ。

書いている人と読む人の間に、橋がない。情報は「現場の言葉」のまま出ていて、求職者が受け取れる形になっていない。

「正しく書いてある」ことと「伝わるように書いてある」ことは、違います。

今回取り上げるのは、従業員約20名の金属加工会社が求人サイトに掲載している製造スタッフの求人票です。

大手メーカーとの直接取引があり、受注生産で一品ものを手がけている。未経験歓迎で、3つの部門を経験してから適性を見て配属する育成方針もある。

会社の中身は悪くない。でもこの求人票にも、同じことが起きていました。

どこが問題で、どう直せば「この会社で働きたい」と思ってもらえるのか。具体的に見ていきます。

※本記事の求人票は、実在の求人票をもとに業界・条件・企業情報等を変更したモデルケースです。実在の特定企業を指すものではありません。

目次

今回の会社と求人票について

まず、今回モデルにした会社の概要です。

  • 業界:金属加工(製缶・溶接・機械加工)
  • 従業員数:約20名
  • 所在地:近畿地方
  • 採用体制:人事専任者なし
  • 採用媒体:求人サイトに掲載

従業員約20名の、金属加工を手がける町工場です。

そして、求人票の内容はこうでした。

  • 職種:製造スタッフ(未経験歓迎)
  • 年収:300〜400万円(月給22.3〜29.7万円+賞与年2回・計1.5ヶ月)
  • 年間休日:100日
  • 残業:あり(手当別途支給)
  • 特徴:大手メーカーとの直接取引、受注生産の一品もの、3部門を経験してから配属を決定

年収や休日だけを見ると、製造業の中小企業としては標準的な水準です。

ただ、この会社には条件の数字だけでは見えない強みがあります。

  • 大手メーカーの部品を直接受注している安定基盤
  • 毎回異なる図面で一品ものを手がける仕事の面白さ
  • 3つの部門を経験したうえで、本人の希望と適性を見て配属を決める育成方針

求人票に書くべき材料はそろっています。

問題は、その材料が「現場の言葉」のまま置かれていて、求職者に届く形になっていないことです。

まず、この求人票の良い点

添削に入る前に、この求人票の良い点も伝えておきます。

大手メーカーとの直接取引がある

主要取引先が大手メーカーやその100%子会社。
中小の町工場でこの取引先を持っているのは、技術力が認められている証拠です。
求職者にとっては「この会社は仕事が安定していそうだ」と感じられる、大きな安心材料になります。

受注生産で、同じものを作らない面白さがある

毎回図面を確認しながら一品ものを手がける仕事です。
同じ製品をひたすら繰り返すライン作業とは違い、「次は何を作るのか」という変化がある。
「手に職をつけたい」と思っている求職者にとって、技術が身につく環境であることが伝わる材料です。

未経験者の育成方針が明確

3つの部門(溶接・製作技術・機械加工)を一通り経験したうえで、本人の希望と適性を見て配属を決める。
「とりあえず現場に放り込む」ではなく、適性を見てくれるという方針は、未経験者にとって安心できる情報です。


大手メーカーとの直接取引、一品ものの面白さ、3部門を経験してから配属を決める育成方針。この会社には、求職者に伝えれば響く材料がそろっています。

ただ、導入で触れた通り、製造業の求人票は現場を知っている人が書いているからこそ情報量はある。でもその情報が「現場の言葉」のまま出ている。

この会社も同じです。材料はそろっているのに、それが求職者に届く言葉に変換されていない。

大手メーカーとの取引も、一品ものの面白さも、育成方針も、求人票の中で「現場の人が読む形」のまま置かれている状態です。

では、具体的にどこが問題なのか。1つずつ見ていきます。

添削ポイント①:タイトルに「この会社を選ぶ理由」がない

導入で、製造業の求人票は現場を知っている人が書いているから情報量はあると書きました。

でも、タイトルに限っては逆のことが起きています。

製造業の求人票を何件も読みましたが、タイトルに並んでいるのはほとんどがこのパターンでした。

「未経験歓迎」「手に職がつく」「転勤なし」「年休○○日」

どの会社も同じ言葉を使っているため、求職者から見ると全部同じに見える。

今回の求人票のタイトルも、同じパターンにはまっていました。

変更前:

製造スタッフ<未経験から手に職がつく>夜勤なし/食堂・更衣室・休憩場所完備

求人サイトで製造業の求人タイトルが並んでいるスマホ画面

情報は入っています。未経験歓迎であること、夜勤がないこと、設備が整っていること。

では何が問題か。

タイトルの主役が「福利厚生」になっている。

「食堂・更衣室・休憩場所完備」。あればありがたい情報です。

でも、求職者がこの一文を見て「この会社で働きたい」と思うでしょうか。食堂や休憩場所は、入社の決め手にはなりません。

今回の業界調査でも、製造業の求人タイトルに福利厚生を入れている会社は少数派でした。多くの会社は条件や「未経験歓迎」で埋めている。その中で福利厚生をタイトルに持ってきているのは、逆に珍しい。

ただ、珍しいことと、求職者の手が止まることは別の話です。

この会社には、タイトルに入れるべき別の情報があります。

  • 大手メーカーの部品を直接受注している安定基盤
  • 毎回図面が異なる一品ものの製作

こうした情報は、タイトルのどこにも入っていません。

「未経験から手に職がつく」も、製造業の求人ではほぼ全員が書いている言葉です。実際に今回読んだ求人票の80%に「手に職」または「スキル習得」が入っていました。

珍しくない言葉と福利厚生だけでは、他の求人に埋もれます。

どう直すか

変更後:

大手メーカーの部品を手がける製造スタッフ|未経験から溶接・機械加工の技術が身につく

タイトルを改善した求人が他の求人の中で目立っているスマホ画面

変えたポイントは2つです。

「大手メーカーの部品を手がける」を先頭に置いた

タイトルに何を入れるかを考えるとき、まず「この会社にしか書けない情報は何か」を探しました。

「未経験歓迎」はどの製造業でも書ける。「手に職がつく」も同じです。

一方で「大手メーカーの部品を手がける」は、この会社の事実です。製造業の求人タイトルで「大手メーカーの部品」と書いている会社はほとんどありません。

今回読んだ中では、1社だけ「大手メーカーも認める」という表現を使っていました。でもそれ以外はすべて「未経験歓迎」と条件の組み合わせです。

「大手メーカーの部品」という言葉があるだけで、「この会社、ちゃんとした仕事をしてるんだな」と目が止まる。求職者が中小企業の製造業に対して感じる「大丈夫かな」という不安を、タイトルの時点で和らげる効果もあります。

「手に職がつく」を具体的にした

「手に職がつく」は抽象的で、どの求人にも書いてあります。

「溶接・機械加工の技術が身につく」と書けば、何の技術なのかが一目でわかる。

これも「現場の言葉を求職者の言葉に変える」の一例です。

「手に職がつく」は書く側の感覚で選ばれた言葉。でも求職者が知りたいのは「何の手に職がつくのか」です。

「溶接・機械加工」と具体的に書くだけで、経験者は「自分のスキルが活かせそうだ」と感じ、未経験者は「こういう技術を身につけられるのか」と具体的にイメージできます。


タイトルに入れるべきは福利厚生ではなく「この会社を選ぶ理由」。そして「手に職がつく」のような現場の感覚で選んだ言葉を、求職者が受け取れる具体に変える。

添削ポイント②:未経験歓迎なのに、仕事内容が経験者にしか伝わらない

①でタイトルを「大手メーカーの部品を手がける製造スタッフ」に変えました。求職者がクリックして、次に読むのは仕事内容です。

「未経験歓迎」と書いてある求人票なら、自分にもわかる言葉で説明してくれるだろう。求職者はそう期待して読み始めます。

今回の求人票の仕事内容は、こうなっていました。

変更前:

産業機械部品の製缶・溶接、製作技術、加工機械(マシニング)操作をお任せします。

架台・コンベアフレーム・タンク・機械ベース等を、図面指示通りに素材を仮溶接しながら製品の形にしていきます。

鉄やステンレス鋼材をプラモデルのように溶接にて組立て、形にしていきます。

経験者が読めば、何をする仕事かイメージできます。

ただ、この求人票は「未経験歓迎」を打ち出しています。未経験者もこの文章を読むということです。

最初の2行で、知らない言葉が5つ以上出てくる。

「製缶」「マシニング」「架台」「コンベアフレーム」「仮溶接」

製造業の求人票を何件も読みましたが、これは今回の会社だけの問題ではありません。どの会社も「未経験歓迎」と書きながら、仕事内容欄は専門用語で埋まっている。

今回の調査で読んだほとんどの求人票でも、「マシニングセンタ」「NC工作機械」「汎用旋盤」「フライス盤」「ボール盤」「プレス切削」といった言葉が当たり前に使われていました。

ただし、一部の会社は工夫をしていました。

「部品をセットしてボタンを押すなど」「このボタンを押すと金属が回転する」と、専門用語の後に「つまり何をするか」を一言添えている会社があった。

この差は大きい。

人は、知らない言葉が続くと「自分向けではない」と判断します。タイトルで「未経験歓迎」と言っていたのに、仕事内容を読んだ瞬間に「自分には無理だ」と離脱する。

導入で「書いている人と読む人の間に橋がない」と書きました。この仕事内容欄は、まさにその典型です。

現場の人が読めば正確な情報です。でも未経験者には、外国語を読んでいるのと変わらない。

一方で、経験者にとっても問題があります。

「架台・コンベアフレーム・タンク・機械ベース等を図面指示通りに仮溶接」と書いてあるだけでは、どんな規模の製品なのか、難易度はどの程度なのかがわかりません。

経験者ほど「具体的に何をやるのか」を気にします。

つまり、この書き方は未経験者にも経験者にも中途半端になっています。

どう直すか

仕事内容をどう書き直すかを考えるとき、まず「この求人票を読むのは誰か」を整理しました。

「未経験歓迎」と書いている以上、未経験者が読む前提で書く必要がある。

でも、会社の本音は「経験者が来てくれればベスト、でも未経験でもOK」のはずです。

だから経験者が読んでも「ちゃんとした仕事だ」とわかる情報も必要です。

この2つを両立させる方法が、「専門用語+平易な説明」のセットです。

変更後:

産業機械に使われる金属部品の製造をお任せします。

手のひらサイズから2メートル近い大型のものまで、大手メーカーから届く図面をもとに、一つひとつ形にしていく仕事です。

すべて受注生産のため、同じものを繰り返し作るライン作業ではありません。

入社後は溶接・組立・機械加工の3つの部門を経験し、本人の希望と適性を見て担当を決定します。

溶接:鉄やステンレスの板やパイプを切断し、図面通りに組み立てる作業です。

組立・仕上げ:部品同士を組み合わせ、電動工具で仕上げていく作業です。

機械加工:加工機械に素材をセットし、プログラムに沿って金属を削り出す作業です。

変えたポイントは3つです。

冒頭を「誰にでもわかる一文」から始めた

「産業機械に使われる金属部品の製造」。

この一文なら、未経験者でも「金属の部品を作る仕事なんだな」とわかります。専門用語は使っていないけれど、経験者が読んでも「ちゃんとした仕事だ」と感じる表現です。

元の文章の「産業機械部品の製缶・溶接、製作技術、加工機械(マシニング)操作」は正確です。

でも「正確」と「伝わる」は違う。最初の一文で離脱されたら、その先の情報は一生読んでもらえません。

規模感を具体的に入れた

「手のひらサイズから2メートル近い大型のものまで」。

この一言があるだけで、経験者は仕事の難易度やイメージがつかめます。未経験者にとっても「いろんなサイズのものを作るんだな」と具体的に想像できます。

元の「架台・コンベアフレーム・タンク・機械ベース等」は、製品の種類を列挙しています。正確ですが、未経験者には何のことかわからない。

「手のひらサイズから2メートル」のほうが、誰が読んでも一瞬でスケールが伝わります。

3部門の説明を「専門用語+平易な説明」のセットにした

「溶接」「組立・仕上げ」「機械加工」という言葉は残しています。経験者にとっては必要な情報だからです。

ただし、それぞれの後に「つまり何をするのか」を一文添えています。

これなら、経験者は専門用語で判断でき、未経験者は説明文で理解できる。どちらかに合わせるのではなく、両方に届く書き方です。


「未経験歓迎」と書くなら、仕事内容も未経験者が読んでわかる形にする。専門用語をなくす必要はない。「つまり何をするのか」を一言添える。それが「現場の言葉」を「求職者の言葉」に変える、一番シンプルな方法だ

添削ポイント③:「大手メーカーとの直接取引」という安心材料が埋もれている

①でタイトル、②で仕事内容と、「現場の言葉を求職者の言葉に変える」話をしてきました。

ただ、言葉を変えるだけでは足りないケースもあります。

中小企業の製造業に応募する求職者が、条件の次に気にすること。それは「この会社、大丈夫かな」という安定性への不安です。

従業員20名の町工場と聞いて、「仕事がなくなったらどうなるんだろう」「取引先が離れたら終わりじゃないか」と感じる人は少なくありません。

この会社には、その不安を解消できる材料があります。

  • 主要取引先が大手メーカーやその100%子会社
  • 受注生産で、継続的に仕事が入ってくる構造

ところが、求人票ではこうなっていました。

変更前:

特徴・魅力:受注生産を主体としている為、都度図面を確認しながらの加工となります。主要取引先は大手メーカーや大手メーカーの100%子会社です。

仕事内容の中の「特徴・魅力」という小さな欄に、さらっと書かれているだけです。

求職者の不安を消せる情報が、ほとんどの人が読まない場所に置かれている。

タイトルにも、冒頭にも、この情報は出てきません。求職者がここまでたどり着く前に、離脱している可能性があります。

しかも、「受注生産を主体としている為、都度図面を確認しながらの加工となります」という仕事の説明が先に来ていて、「大手メーカーとの取引」は文末に回されています。

これも「現場の視点」と「求職者の視点」のズレです。

現場の人にとっては「受注生産で都度図面を確認する」が仕事の特徴として先に来る。

でも求職者にとっては「大手メーカーと直接取引がある=安定している」のほうが先に知りたい情報です。

書いてある情報は同じ。でも、誰の視点で並べるかによって、伝わり方がまったく違う。

①②では「現場の言葉を求職者の言葉に変える」話をしました。

③で言いたいのは、言葉だけでなく、情報の「置き場所」も求職者の視点に合わせるということです。

どう直すか

変更後:

当社は創業から50年以上、安定して仕事が続いています。

主要取引先は大手メーカーやその100%子会社。

産業機械の部品を中心に、継続的に受注をいただいています。

景気に左右される量産品とは異なり、取引先との長期的な関係の中で仕事がある環境です。

変えたポイントは2つです。

結論を最初に持ってきた

元の求人票では「受注生産を主体としている」という仕事の説明が先に来て、「大手メーカーとの取引」が文末に回されていました。

求職者が一番知りたいのは「この会社は安定しているのか」です。

だから、まず「50年以上、安定して仕事が続いている」という結論から入る。その後に「なぜなら大手メーカーとの長期取引があるから」と理由を続ける。

この順番なら、読み始めた瞬間に安心できます。

元の文章は「事実→事実」の羅列でした。変更後は「結論→理由」の流れです。

同じ情報でも、並べ方を変えるだけで求職者の受け取り方が変わります。

「だから何?」を添えた

元の求人票では「主要取引先は大手メーカーの100%子会社です」と事実だけが書いてありました。

でも、求職者が本当に知りたいのは「だから何?」です。

「大手と取引がある」→「だから仕事が安定している」→「だから安心して働ける」

この「だから何?」まで書くことで、事実が安心材料として機能します。

これも②と同じ構造です。②では専門用語に「つまり何をするのか」を添えました。

③では事実に「だから何?」を添える。どちらも「現場の人には自明なことを、求職者にも伝わる形にする」という同じ考え方です。


求職者の不安を消せる情報は、目立つ場所に、求職者の視点で並べる。事実を書いたら「だから何?」を添える。それだけで、同じ情報が安心材料として届くようになる。

添削ポイント④:年間休日100日が「数字だけ」で出ている

①では言葉を変え、②では書き方を変え、③では置き場所を変えてきました。

④は「変えられないものをどう見せるか」の話です。

求職者が求人票で必ずチェックする項目の一つが、休日です。

年間休日120日以上が「普通」と感じている求職者も増えている中で、年間休日100日という数字は、それだけで印象が下がるリスクがあります。

ただし、製造業の中小企業では年間休日100〜110日は珍しくありません。

製造業の中小企業の求人票を読んでいると、年間休日100〜115日あたりの会社が多い印象です。120日を超えている会社もありますが、業界全体で見れば100日台は珍しくありません。。

問題は数字そのものではなく、その数字の「出し方」です。

今回の求人票では、こう書かれていました。

変更前:

年間休日:100日

日曜休み。祝日は基本的には休みですが、月によって出勤あり。土曜は月によって2回程出勤あり。

「100日」という数字がまず目に入ります。

その直後に「祝日は…出勤あり」「土曜は…出勤あり」と、ネガティブな補足が続く。

読んだ印象は「休みが少なくて、しかも不規則なんだな」。これだけが強く残る。

しかし、この会社には休日以外の条件もあります。

  • 退職金制度、資格取得支援、寮社宅の相談可、工場内Wi-Fi完備
  • 夜勤がなく、勤務時間は8:05〜17:00で固定

こうした情報が休日欄とは別の場所に散らばっていて、求職者の目に入りにくくなっています。

ここでも「現場の視点」と「求職者の視点」のズレが起きています。求人票を書く側は、休日欄には休日の情報を、福利厚生欄には福利厚生を、とカテゴリごとに正確に振り分ける。それは正しい。

でも求職者は、カテゴリごとに読んでいるわけではありません。「年間休日100日」を見た瞬間に印象が決まり、その印象のまま次のセクションに進む。別の欄に良い条件が書いてあっても、もう頭に入らない。

年間休日100日という数字だけが強い印象を残し、他の良い条件が打ち消されてしまっている状態です。

どう直すか

もちろん、年間休日を増やせるなら増やすのが一番です。

ただ、製造業の中小企業では、受注状況や納期の都合ですぐに休日を増やせないケースも多い。

変えられない数字をどう見せるか。それも求人票の設計の一部です。

変更後:

年間休日100日(日曜+祝日休み、土曜は月2回程度出勤あり)。

勤務時間は8:05〜17:00の日勤のみで、夜勤はありません。

退職金制度あり。資格取得支援制度あり。転居が必要な場合は寮の相談も可能です。

変えたポイントは2つです。

休日の説明をコンパクトにまとめた

元の求人票では「日曜休み。祝日は基本的には休みですが…」「土曜は月によって…」と、ネガティブな情報が分けて書かれていました。

これを一文にまとめることで、必要な情報は伝えつつ、ネガティブな印象が長く続かないようにしています。

嘘は書いていません。「祝日出勤あり」も「土曜出勤あり」も、一文の中にちゃんと入っている。でも、分けて書くか一文にまとめるかで、読んだ後の印象はまったく違います。

休日の直後に、他の条件を並べた

年間休日100日を読んだ直後に「日勤のみ」「退職金あり」「資格取得支援あり」が続けば、求職者の印象は変わります。

「休みは多くないけど、夜勤がなくて、退職金もあって、資格も取れるのか」

数字のマイナスを、別の条件のプラスで補う。これは嘘をついているわけではありません。バラバラに書いてあった情報を、求職者が一目で比較できるように並べ直しただけです。

①では「現場の言葉」を「求職者の言葉」に変えました。
②では専門用語に「つまり何をするのか」を添えました。
③では情報の置き場所を求職者の視点に合わせました。

④でやっているのも、根っこは同じです。情報そのものは変えていない。変えたのは、見せ方だけです。


条件を変えられるなら変えるのが理想。でも、すぐに変えられない数字もある。そのときは、何と一緒に見せるかで印象を変える。数字の「出し方」も、求人票の設計の一部だ。

※求人媒体によっては、休日欄と福利厚生欄が分かれていて、自由にまとめられない場合もあります。その場合でも、「休日欄の書き方をコンパクトにする」「福利厚生欄の情報を充実させる」など、できる範囲で同じ考え方を応用できます。

この求人票から学べること

今回の求人票は、情報が足りなかったわけではありません。大手メーカーとの直接取引、一品ものの面白さ、3部門を経験してから配属を決める育成方針。書くべき材料はそろっていました。

ただ、その材料が「現場の言葉」のまま出ていた。

導入で書いた通り、製造業の求人票は現場を知っている人が書いているからこそ情報量はある。でも、その情報が求職者に届く形になっていない。「正しく書いてある」のに「伝わるように書いてある」になっていなかった。

今回の添削で変えたのは、情報そのものではありません。変えたのは3つのことです。

①「現場の言葉」を「求職者の言葉」に変える

「手に職がつく」を「溶接・機械加工の技術が身につく」に。

「製缶・マシニング操作」を「金属部品の製造」に。

専門用語をなくす必要はありません。「つまり何をするのか」を一言添えるだけで、未経験者にも経験者にも伝わる文章になります。

求人票を書いたら、一度「この業界を知らない人が読んだらどう感じるか」を想像してみてください。

② 情報の「置き場所」を求職者の視点に合わせる

大手メーカーとの直接取引という安心材料が、求人票の後半に埋もれていました。

書いてあっても、読まれなければ意味がありません。求職者が不安に感じることには、目に入る場所で先回りして答える。

事実を書いたら「だから何?」を添えて、求職者が自分で安心できる形にする。

③ 変えられない数字は「何と一緒に見せるか」で印象を変える

年間休日100日を120日にすることはできません。

でも、「日勤のみ」「退職金あり」「資格取得支援あり」を隣に置くだけで、求職者が受け取る印象は変わります。

数字を隠すのではなく、他の条件と一緒に見せる。それも求人票の設計です。


製造業の求人票は、現場を知っている人が書いているからこそ中身がある。足りないのは情報ではなく、「書いている人と読む人の間に橋を架ける」という一手間です。その一手間で、同じ情報でも求職者の目に映る求人票はまったく変わります。

他の業界の求人票でも同じ視点で添削しています。業界別の事例は以下からご覧ください。

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