施工管理の求人票を何件か読んでいると、もったいないことに気づきます。
国の認定を受けている会社。創業100年を超える会社。大手ゼネコンの一次請けを何十年も続けている会社。
どの会社も、実力がある。技術も、実績も、歴史もある。
なのに、タイトルに並んでいるのは「残業○h/年間休日○日/転勤なし/未経験歓迎」。
どの会社も同じ条件を並べるから、求職者から見ると全部同じに見える。会社の実力が、求人票に載っていない。
実力はあるのに、求人票では「条件」しか見せていない。だから求職者に「この会社を選ぶ理由」が伝わらない。
今回取り上げるのは、従業員約30名の総合建設会社の求人票です。国土交通大臣認定の鉄鋼加工技術を持ち、創業から70年以上続いている。中途入社が8割で、勤続年数は20年弱。会社としての実力は十分にある。
でもこの求人票にも、同じ問題がありました。
どこが問題で、どう直せば「この会社で働きたい」と思ってもらえるのか。具体的に見ていきます。
※本記事の求人票は、実在の求人票をもとに業界・条件・企業情報等を変更したモデルケースです。実在の特定企業を指すものではありません。
今回の会社と求人票について
まず、今回モデルにした会社の概要です。
- 業界:建設業(鉄鋼製造もできる総合建設会社)
- 従業員数:約30名
- 所在地:中国地方
- 施工管理の体制:5名(平均年齢50代前半)
- 採用媒体:求人サイトに掲載
創業から70年以上続く会社で、鉄鋼加工の技術は国土交通大臣の認定を受けています。工場や倉庫、商業施設などの民間工事を中心に手がけています。
そして、求人票の内容はこうでした。
- 職種:建築施工管理(未経験歓迎)
- 年収:390〜450万円(月給26〜30万円+賞与年2回)
- 年間休日:100日(隔週土曜・日祝休み)
- 残業:月平均20時間
- 特徴:国交大臣認定の鉄鋼製造技術、メンター制度あり、有休消化率80%
建設業の中小企業としては、年収や手当の面では悪くない条件です。
一方で、年間休日100日は求職者にとってはマイナスに映りやすいポイントです。
ただ、この会社には国交大臣認定の技術力、メンター制度、有休消化率80%という強みがあります。
問題は、その強みが求人票で伝わっていないことでした。
まず、この求人票の良い点
添削に入る前に、この求人票の良い点も伝えておきます。
有休消化率を具体的な数字で示している。
「有休消化率80%」と書かれていました。「有休が取りやすい」と言葉で書くだけの求人票が多い中、数字で示しているのは良い点です。数字は言葉より信頼されます。
メンター制度があることを明記している。
未経験者の採用を目指す以上、「入社してからどう育ててもらえるか」は求職者にとって大きな関心事です。メンター制度があること自体が強みであり、それを書いている点は評価できます。
中途入社者が多く、勤続年数が長い。
中途入社が8割で、勤続年数は20年弱。これは「入った人が辞めない会社」という事実です。職場環境の良さを証明する、非常に強い材料です。
国交大臣認定の技術力、中途入社8割で勤続20年弱の定着率、有休消化率80%。この会社には、他の建設会社にはない実績がそろっています。
ただ、導入で触れた通り、施工管理の求人票はどの会社も条件を並べるだけになっている。
この会社も、実力があるのに求人票では「条件」しか見せていない。国交大臣認定という他社にない武器が、求職者に届く前に、似たような求人の中に埋もれている状態です。
では、具体的にどこが問題なのか。1つずつ見ていきます。
添削ポイント① タイトルに「会社の顔」がない
導入で、施工管理の求人票はどの会社も条件を並べるだけになっていると書きました。
その影響が一番出るのがタイトルです。
今回の一次調査で施工管理の求人票を何件も読みましたが、タイトルの大半がこうなっていました。
「残業○h/年間休日○日/土日祝休/未経験歓迎/転勤なし」
国の認定を受けている会社も、創業100年を超える会社も、大手ゼネコンの一次請けを持つ会社も。タイトルに並んでいるのは条件だけ。会社の実力が、タイトルに1文字も入っていない。
今回の求人票のタイトルも、同じパターンでした。
変更前:
<未経験歓迎!>建築施工管理/資格取得後お祝い金有り!/メリハリつけて働ける!

「未経験歓迎」「資格取得支援」「メリハリ」。どれも施工管理の求人であれば多くの会社が書いていることです。
求職者が一覧で見たとき、このタイトルではこの会社を選ぶ理由がない。
この会社には「国交大臣認定の鉄鋼加工技術」「創業70年」という、他社には書けない実績があります。でもそれがタイトルに入っていない。
条件で他社と並べば、数字の大小で比較されるだけです。年間休日100日は、125日の会社に勝てない。
でも「国の認定技術を持つ創業70年の会社」は、比較のしようがない。それはこの会社だけの事実だからです。
どう直すか
変更後:
創業70年で安定/国の認定技術が学べる/資格取得でお祝い金あり/建築施工管理

タイトルに何を入れるかを考えるとき、まず「この会社にしかない情報は何か」を探しました。
「未経験歓迎」はどの会社でも書ける。「資格取得支援」「メリハリ」も同じです。
一方で「国土交通大臣認定の鉄鋼加工技術」は、この会社だけの事実です。そして「創業70年」も、歴史の浅い会社には書けない。
だからこの2つをタイトルに入れました。
ただし「国土交通大臣認定の鉄鋼加工技術」をそのまま書いても、未経験者には伝わりません。知らない言葉は読み飛ばされるからです。
そこで「国の認定技術が学べる」に翻訳しました。会社の実績を、求職者にとっての意味に変換する。「この会社にいると、国の認定を受けた技術を身につけられるんだ」と受け取ってもらえます。
実績をそのまま書くのではなく、「求職者にとって何が得か」に翻訳する。これがタイトル設計の基本です。
ちなみに、経験者向けの求人であれば「国交大臣認定の鉄鋼技術を持つ総合建設会社」とストレートに打ち出すタイトルも有効です。経験者ならその言葉の価値がわかるからです。
同じ実績でも、ターゲットによってタイトルの正解は変わります。
添削ポイント② 冒頭の◎羅列が「読む理由」を作れていない
タイトルを「創業70年/国の認定技術が学べる」に変えて、求職者がクリックした。ここまでは成功です。
次に目に入るのが、冒頭の数行です。ここでタイトルの期待に応えられるかどうかが、その先を読んでもらえるかの分かれ目になります。
今回の求人票の冒頭は、こうなっていました。
変更前:
◎未経験OK!困ったことがあったらいつでも聞ける環境です!
◎資格取得後はお祝い金を支給します!
◎風通しの良い、アットホームな社風です♪
◎有休消化率80%、オンオフつけて働けます!

施工管理の求人票を何件も読んでいると、冒頭が◎の条件羅列で始まるパターンに何度もぶつかります。
「未経験歓迎」「教育体制充実」「手に職」「福利厚生◎」
どの会社も、冒頭で同じ言葉を並べている。今回もそうです。
タイトルで「国の認定技術が学べる」を見てクリックした求職者が知りたいのは、「それってどんな技術?」「どんな会社なの?」です。その期待に、冒頭が何も応えていない。
しかも◎で条件が並ぶと、求職者は「スペック比較モード」に入ります。
年間休日は何日か、残業はどのくらいか、他社と比べてどうか。数字の大小だけで判断される。
この会社の年間休日は100日。数字の比較では不利です。
①で「条件は比較される。実績は比較されない」と書きました。タイトルで実績を見せて興味を引いたのに、冒頭で条件の比較に引き戻してしまっている。
どう直すか
タイトルを「創業70年で安定/国の認定技術が学べる」に変えた前提で考えます。
求職者がこのタイトルを見て気になるのは、「国の認定技術って何?」「どんな会社なんだろう?」です。
なら、冒頭はその答えから始める。
変更後:
建物をつくるための鉄骨を、自社でつくれる建設会社です。この技術は国の認定を受けていて、持っている会社は多くありません。
だから創業から70年、安定して仕事が続いています。
未経験の方にはメンターがついて、現場の基礎から学べます。資格取得の支援制度があり、取得後にはお祝い金も支給します。

冒頭2行で、タイトルの「国の認定技術」に対して「鉄骨を自社でつくれる」と未経験者にもわかる言葉で答えています。
ここでも①と同じ「翻訳」をしています。
「国土交通大臣認定の鉄鋼加工技術」をそのまま冒頭に書いても、未経験者は読み飛ばします。だから「建物をつくるための鉄骨を、自社でつくれる」と、知らない人でもイメージできる言葉に置き換えました。同じ事実でも、伝わり方がまったく違います。
そして「だから70年安定している」と続けることで、求職者の頭の中に「技術がある→だから仕事が途切れない→だから安定している」という納得の流れが生まれます。
冒頭の役割は、タイトルで生まれた疑問に答えること。条件は、興味を持った求職者が自分でスクロールして確認します。
添削ポイント③ 最大の強みが求人票の後半に埋もれている
ここまで、タイトルと冒頭で「この会社の実力」を見せる話をしてきました。
でも今回の求人票には、もう1つ大きな問題があります。
実力を見せる以前に、その実力が求人票のどこに置いてあるかという問題です。
この会社の求人票には、以下の情報が書かれていました。
- 国土交通大臣認定の鉄鋼加工技術
- 中途入社8割で勤続20年弱
- 有休消化率80%
- メンター制度あり
どれも、求職者にとって魅力的な情報です。
しかし、これらはすべて求人票の後半に書かれていました。
施工管理の求人票を何件も読んでいると、同じパターンに気づきます。冒頭に条件や「未経験歓迎」の話が来て、次に仕事内容の説明が続き、会社の実績や制度は後半にまとめて置かれている。
会社の実力が、求人票の一番読まれない位置に置かれている。
求職者はスマホで上から順に読みます。冒頭の数行で興味を持てなければ、そこから先はスクロールされません。
つまり、①で見た問題と根っこは同じです。この会社には実力がある。でもタイトルには条件しか入っていなかった。冒頭も条件の羅列だった。そして実績は求人票の後半に埋もれていた。
「書いてある」と「伝わる」は違います。求人票のどこに置くかで、同じ情報でも伝わるかどうかが変わる。
どう直すか
求人票の情報を、「求職者が知りたい順番」に並べ替えます。
ここで考えたのは、「この求人票をクリックした求職者が、何を知りたい順番で読むか」です。
タイトルで「国の認定技術が学べる」を見た。冒頭で「鉄骨を自社でつくれる会社」だとわかった。次に知りたいのは、「じゃあ自分はそこで何をするのか」「未経験でも大丈夫なのか」です。
だから、この順番にしました。
変更後の構成:
① 冒頭:会社の最大の特徴(国の認定技術+安定性)
② 未経験者へのサポート(メンター制度+資格取得支援)
③ 仕事内容(具体的に何をするか)
④ 条件面(年収・休日・有休消化率)
元の求人票では④→③→①→②に近い順番でした。会社の最大の武器が一番後ろにある。
ここまで①②③を通して見てきたのは、結局ひとつのことです。この会社には実力がある。でもその実力を、求人票の「どこに」「何番目に」見せるかが設計されていなかった。
タイトルに実績を入れる。冒頭でその中身を伝える。求人票全体を「求職者が知りたい順番」に並べ替える。やっていることはすべて、実力を正しい位置に置き直すことです。
添削ポイント④ 「アットホーム」「風通しが良い」は証拠がないと逆効果
③で、情報を「求職者が知りたい順番」に並べ替える話をしました。
ただ、情報の配置を直しても、情報そのものが求職者に信じてもらえなければ意味がありません。
今回の求人票には、こう書かれていました。
変更前:
風通しの良い、アットホームな社風です。
上下関係があまりなく、フラットな関係性で自由に働ける環境です。
施工管理の求人票を読んでいると、「アットホーム」「風通しが良い」「フラット」は本当によく出てきます。
書いている側は本心で書いていると思います。
でも建設業は「体育会系」「上下関係が厳しい」というイメージを持たれやすい業界です。そのイメージがある中で「アットホームです」「フラットです」と書かれると、未経験の求職者ほど「本当に?」と警戒します。
ここまで①②③で「この会社の実力」を見せてきました。国の認定技術、創業70年、情報の配置も直した。
でも最後に「アットホームな社風です」で締められると、せっかく積み上げた信頼が、形容詞ひとつで崩れるリスクがある。
実力を「事実」で見せてきたのに、職場の雰囲気だけ「形容詞」で伝えてしまっている。
求職者が求めているのは、会社側の評価ではなく、自分で判断できる材料です。
どう直すか
変更後:
中途入社が8割。勤続年数は平均で20年弱です。入った人が辞めない会社です。
メンター制度があり、入社後は経験豊富な先輩社員が教育担当としてつきます。わからないことがあれば、すぐに聞ける体制です。
「アットホーム」とは一言も書いていません。
でも「中途入社8割で勤続20年弱」を読めば、求職者は自分で「入った人が辞めない会社なんだな」と判断できます。
「メンターがついて、すぐ聞ける」を読めば、「面倒見の良い職場なんだな」と感じます。
ここで考えたのは、「この会社の職場環境の良さを証明する事実は何か」です。
「アットホーム」は書いている側の評価です。でも「中途入社8割・勤続20年弱」は数字の事実。評価は疑われるけれど、事実は疑われない。
そして、この事実は①で触れた「実績」と同じ構造です。国交大臣認定は技術の実績。中途入社8割・勤続20年弱は職場環境の実績。どちらも、この会社が持っている「事実の力」です。
この記事全体を通して変えてきたのは、形容詞を事実に、条件を実績に置き換えることでした。④もその延長線上にあります。
この求人票から学べること
今回の求人票は、情報が足りなかったわけではありません。
国交大臣認定の技術力、創業70年、中途入社8割・勤続20年弱。他の建設会社にはない実績がそろっていました。
ただ、その実績が求人票に載っていなかった。
導入で書いた通り、施工管理の求人票はどの会社も条件を並べるだけになっています。
「残業○h/年間休日○日/転勤なし」。その中に自社の求人票が紛れてしまうと、どれだけ実力のある会社でも「他と同じ」に見えてしまう。
今回の添削で意識したのは、その「条件だけの求人票」から抜け出すための3つのことです。
1. タイトルには条件ではなく「この会社だけの実績」を入れる
条件を並べると、数字の大小で他社と比較されるだけです。
でも「国の認定技術が学べる」「創業70年」は、この会社だけが言える事実。
比較されない情報をタイトルに入れるだけで、求人一覧の中で目に留まる確率は変わります。
2. 実力は「書いてある」だけでは伝わらない。「どこに置くか」で決まる
今回の求人票には、実績も制度もちゃんと書いてありました。でも全部、求人票の後半に埋もれていた。
求職者はスマホで上から読みます。読まれない位置にある情報は、ないのと同じです。
実力を正しい位置に置き直す。それだけで同じ情報でも伝わり方は変わります。
3. 形容詞を事実に置き換える。事実が信頼をつくる
「アットホーム」「風通しが良い」は建設業の求人票にあふれています。
でも求職者はもう信じていません。「中途入社8割・勤続20年弱」という事実のほうが、はるかに信頼されます。
実績も、職場の雰囲気も、伝え方は同じです。形容詞ではなく、事実で見せる。
他の業界の求人票でも同じ視点で添削しています。業界別の事例は以下からご覧ください。
御社の求人票も、無料で診断します
ここまで読んで、「うちも実力はあるのに、求人票では条件しか見せていないかもしれない」と感じた方へ。
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御社の求人票の「何が問題で、どう直せばいいのか」を具体的にフィードバックします。
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この記事を書いた人:Create Match 中小企業向けダイレクトスカウト代行・採用サポーター。「建設業×施工管理×地方」という最も反応が取りにくい条件で、業界平均約3.5倍の返信率を実現。中小企業の採用を、求人票の設計から支援しています。
